「空間におけるアートの可能性」を考える

2021年9月。渋谷の宮下公園内にあるワークアウトスタジオ『GRIT NATION』を訪問しました。2020年に全面リニューアルを行い、海外を訪れたと錯覚するような開放的な雰囲気のフードコートなどを横目にしてエスカレーターを登っていくと、GRIT NATIONが見えてきます。

中へ入ると早々に田村が描いた拳を突き上げる人々のイラストが目に入り、スタッフの方が元気な挨拶と丁寧な接客で迎えてくださいました。

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そして、スタジオへと続く廊下にも田村のイラストが飾られており、スタジオからはワークアウトに励む方々の声や運動により生じる音量から、活気・熱量が伝わってきます。
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後に知ったのですが、GRIT NATIONは「スポーツで世界を鮮やかに」というビジョンを掲げています。このビジョンを体現していく、より顧客に伝えていくことを意図して、建物内の目につくスペースにアートを用いたのだと思います。スタッフの方々やワークアウトの雰囲気に加えて、アートが飾られていることで、熱気や高揚感といったイメージの一貫性が増して伝わってきたように感じました。

今回の取り組みはGRIT NATIONという空間を持つオーナーのビジョンと、そのビジョンを反映させた田村のイラストアートによって成立していますが、多くの建物には、内観・外観問わず空いたスペースがまだまだあります。そして、こういったスペースに思想を表現するアートで彩りを加えることで、その空間に訪れた人が受けるイメージを強固にすることができます。機能的価値から情緒的価値へシフトし、モノから体験へと顧客の選好がシフトする時代において、ブランディングの重要性の高まりから、今回のような取り組みは作り手と受け手の双方のニーズが増えていくと感じます。作り手の方の思想をより強く受け手に届けるため、アートを通じた支援を今後も続けていきたいと考えています。

橋本