ドリームタイム 絵を通じて夢のような時間を届ける

2023年4月中旬、仕事と現地の方々との縁が繋がり、ドバイへの旅に出ました。

常夏の国らしく日中は日差しが強く気温も30度を超える暑さでしたが、その酷暑の中でブルジュハリファやパームジュメイラといった主要なスポットを周りました。

これらの観光スポットは世界一の建物や人工島といった発想のスケールの大きさに加えて、街全体がエンターテイメント性に溢れていて、圧倒的非日常感の下で夢のような時間を過ごすことができました。

オイルマネーが経済基盤にあるとはいえ、そこに甘んじることなく先を見据えた投資と、基本的に税金をなくすことによる積極的な企業・人材誘致、そこから事業単位でのライセンス制度により最終的に国家財源を蓄えられるといった一連の戦略があっての活気だと考えられます。

インターネット、特にSNSの発達により、一度先行するとそこから体験が拡散して次なる訪問者を促すサイクルができやすい現代においては、ドバイのように思い切った投資を行う戦略が中期、長期的なリターンをもたらしやすい時代になっていると思います。

情報が増大し続ける時代において、受け手側は一つ一つの情報処理にかける時間を削らざるを得なくなっており、そのため、今後はプロダクト・サービスといった中身(what:何を)を吟味する時間は相対的に削られ、中身と同等かそれ以上にブランドのイメージ(who:誰が)がどれだけ信頼に足るものかという要素が選択において重要になっていくだろうことを感じるとともに、このイメージを作り出す根本にあるのはドバイのように余裕を持った上での発想力ではないかと感じました。

最終的には予算内に収めていくということが必要ですが、はじめから既定の予算ありきでは世界一の建物や人工島を作るという発想に至らなかったのではないでしょうか。

一方、旅行ガイドなどには書かれていない影も現地には存在していました。

現地の国民は公務員が年収2,000万を超える中、ブルジュハリファや今も続く建設ラッシュを支える労働者、電車が未発達なことによる主要な移動手段となっているタクシーの運転手はパキスタンやインドからの出稼ぎ労働者に支えられていて、彼らの月収は10万に満たないこともあるとのことでした。

実際に私が乗った際に会話した何人かのドライバーはパキスタン出身で、家族と一年以上会っていないと語っていたり、イヤホンを使って小声で家族であろう女性と会話するドライバーも複数いました。

ドバイ自体はおおよそ1時間ほどで街を横断できるほどの規模でありながら、高層ビルが立ち並ぶ一画を少し離れると、労働者が集団で生活する雑然とした住居も数多く存在していました。

労働者は祖国に帰っても働き先がなく、一度犯罪を犯すと強制送還されることが暴動などの抑止力になっているようで、ブルジュハリファから見渡せる規模の一首長国において強い光と濃い影が混在している印象を受けました。

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日中に観光スポットを周った後、夜は現地の方々と食事をしてドバイにおけるビジネス事情を伺いました。

ドバイでは先述の国策の一つとして仮想通貨への税制優遇措置もあるため、多くのWeb3起業家が集まっており、私がお会いした方の中には20代の方もいたのですが、その方の周りも同年代や、中には10代の挑戦者も少なくないとのことでした。

彼ら、彼女らの話の中で特に印象的だったのは、今自分たちが生きている現代も未来から見たら中世で、格差や環境問題など資本主義や中央集権の弊害が深刻になる中で時代が変わる前兆にあり、自分たちが時代を変えるという気概を持っているということでした。生きるためにお金を稼ぎながら、お金に代わる価値を模索していく彼らの表情からは時に不安も抱えつつも仕事を楽しんでいる様子が伝わってきました。

先述のドバイ内での経済格差、日本においては少子高齢化に問題の本質を抱える経済停滞、世界的に見る環境問題など、無数の課題がある中で、その課題の原因の一つとなっているであろう中央集権や国家中心主義について、Web3の根幹にある分散型という思想で主導権を社会から人間へ取り戻し、時代を変革していくということがWeb3起業家たちの目指す最終的なビジョンだと感じました。

一方、これらのビジョンの実現に向けては、当然ながら様々な課題が立ちはだかっています。

一例として、国籍を持たない人がブロックチェーンの技術を活用して信用を得るとことにより自由に世界を行き来できることを目指した場合、すでに技術的にはブロックチェーンの応用により実現可能性があったとしても、その実装に際しては、現在存在している各国家間でのルールの壁を越える必要があり、こちらのハードルが圧倒的に大きくなります。

つまり、Web3、ブロックチェーンという技術や仕組みといったハード面だけで変革を起こすことは難しく、仕組みの普及の前段で必要となる人々の理解、時代に合わせて思考をアップデートしていくというソフト面の変革も必要だと考えています。

そして、ソフト面での変革、思考のアップデートを促す役目がアートにもあると考えており、DTというチームを通して私が目指していきたいことでもあります。ドバイでお会いした若手の方々と手段は異なれど、最終的に目指すビジョンは重なる部分が大きいと感じました。

今回の旅を振り返ると、ドバイに降り立った直後にブルジュハリファを見て、圧倒的なアウトプットにはストーリー不要で人が集まるということを感じ、アウトプットに人が集まった後に語られるストーリーに作り手の哲学、ひいては生き様が宿るということも感じました。

これは今後のDTの活動にも大いに参考になると感じています。田村の圧倒的なアウトプットとともに、夢を追いかけることで人は自分らしく楽しみながら生きられるという生き様をより多くの人々に伝えていくことにより、先述の思考のアップデートによる社会変革の一助になることを目指し、今後も活動を続けたいと思います。

6キロ平方メートル弱の人工島に70カ国以上の国籍の方が住むパームジュメイラに象徴される多様性ある、けど本当に小さいドバイという都市での今回の旅は、これからの自身の生き方とDTの進む先を再確認する機会になりました。

橋本